今から約260年前の江戸時代初期から松江藩の中級藩士が暮らした屋敷で、玄関から座敷まわり、主人居間あたりが当時の様子を忠実に今に伝える全国でも貴重な建物です。比べながら見て欲しいのは、玄関や座敷部分の立派な造りに対して、家族などが使う私的生活部分や裏庭が以外に質素な点です。というのも、武士は公私のけじめに厳しかったからです。屋敷内には、刀を研ぐための盛砂や家来に持たせる刀を入れていた刀箪笥、女性専用の姫駕籠などの家具調度品、熨斗目(のしめ)着物やお歯黒道具などが並んでいますが、中でも裏にある井戸が当時の生活スタイルをかなりリアルに伝えています。家事がいかに大変だったか、考えるだけでも思わず頭が下がりそうです。